ポートフォリオ

Artist Statement

私たちは主観的で曖昧な世界を、あたかも絶対的な現実であるかのように生きています。しかし、ふとした瞬間に、世界の見え方が一変することがあります。例えば、初めて海の中を見た時のように、それまでの認識が覆される瞬間。その言いようのない高揚感は、私にとって非常に魅力的で、作品を通じて同じ体験を共有したいと考えています。

私の作品は、視点や光によって変化し、多面的に見えることで、認知の揺らぎを表現しています。こうした体験を通して、自己認識や記憶の曖昧さや「主観と客観」といった、この世界の多面性を問いかけています。

作品紹介

1,Reflectionシリーズ:新たな知覚体験

自宅での試作

アクリル板の透過性、光の屈折、反射を利用して、見る角度や時間帯で印象が変わる作品群。落ちる影や反射によって立体とも平面ともつかない曖昧な存在感を生み出します。異なる角度から眺めることで、作品が多様な表情を見せ、世界の見え方が揺らぐ瞬間を体験します。

ジェームズ・タレルのような光の変化による知覚の体験を重視し、周辺の環境をまきこむことで完成する、インスタレーション的要素を含んだ平面作品。

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2,写真の余白シリーズ:記憶の可視化

古い写真を元に、記憶を聞き取り、その土地にゆかりのある場所でインスタレーションを行うことで、個人的な記憶を地域的な記憶へと昇華させるプロジェクト。木片に写真を転写し、それらを記憶の場所に配置することで、記憶が場所と結びつく「場所性」を表現しています。

私自身もこのプロセスを行なってみると、「自分がここにいた」という実感がありました。それは、曖昧な記憶の断片が場所と結びつくことで自己の存在を肯定し、アイデンティティが確認される体験でした。集合体の記憶を可視化し共有することで、日本のくらし中で育まれてきたコミュニティの在り方にアプローチしてみたいと考えています。

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